依頼を受けてリンクル地方の奥地を目指す冒険者たちと…
その後ろをこっそり(堂々?)ついていくプクリポのお嬢様。
何事もなく目的地までたどり着ければいいのですが…
そうは問屋がトンブレロ。
間もなくお嬢様はトラブルをおこしてしまいます。
「あ! おおきなトリたんなのー!!」
キメラを見て大喜びし、近づきすぎて追いかけまわされます。
そして、そのまま冒険者たちのもとへ…
思わぬハプニングに冒険者たちは驚きますが、キメラの一匹や二匹、どうってことはありません。
あっという間にキメラをやっつけてプクリポのお嬢様を助け出しました。
でも、本当に手ごわいのはキメラではなく、このお嬢様でした。
このままついてこられたら色々な意味で大変なので何とかお家に帰ってもらおうと冒険者たちは説得します。
このお嬢様、興味を持たないことにはさっぱり見向きもしないのですが、一度興味を持ってしまうと一途…というか頑固なのです。
これには冒険者たちも困ってしまいます。
あの手この手でお嬢様をお家に帰らせようと頑張りますがお嬢様は一歩も引きさがりません。
時間ばかりがむなしく過ぎていきました。
屋敷を出た頃はまだ真上に来ていなかったおてんとさまも西の方へと向かっていきます。
これではらちがあかないと冒険者たちの方がついに根負けし、お嬢様を護衛しながら目的地へと進むことになりました。
もう夕暮れが近く、目的地につくのは夜になりそうです。
キラキラよー!!
ピカピカがおちてるのー!
おもちろいわ!
その後もお嬢様は冒険者たちの足を止め続けます。
キラキラに目を奪われて走って行ってしまったり…
「ネコー!!」
と言っては走り出し、猛獣に追いかけられてみたり…
冒険者たちの心と体は休まることがありません。
(この依頼は簡単だ)
みんな最初にそう思ったことを後悔しています。
どうにかこうにか目的地にたどり着きましたが、ここで不思議な水を採取すればそれで終わり…
とはいかないようでした。
日も暮れ始めているため、この辺りに住む魔物たちが活動をはじめていたのです。
お嬢様を連れていることもあり、この魔物たちを退治しないと安心して採取はできそうにありません。
冒険者たちは疲れ切った体を奮い起こして魔物たちと戦いました。
そして、無事に泉の安全を確保したのです。
冒険者たちはもうクタクタのヘトヘトです。
それはモンスターのせいでも道中が険しい道のりだったからでもなく、お嬢様のせいでした。
当のお嬢様だけは普段蓄えたエネルギーが有り余っているせいか、元気いっぱいではしゃいでいます。
誰もがこう思っていたはずです。
(こんな依頼、もうこりごりだ…さっさと水を汲んで帰ろう。)
果たして予想外の困難に見合うだけの価値がこの水にはあるのかないのか…
お嬢様のダイエットには効果が出るのか。
そんなことは誰にもわかりません。
でも考えてみてください。
お嬢様、今日は食べることそっちのけでとても沢山動き回りましたよね…?
そして、お嬢様はこう考えていました。
今日はトッテモたのちかったわ!!
おかち食べること以外でこんなにたのちいのははじめてよ!
大発見なのー♪
これからも、このちとたちに来てもらって遊んでもらおうかちら♪
無事にお屋敷に戻り、冒険者たちも帰路についた後、今日の楽しかったことをお嬢様は目を輝かせてお父様、お母様にお話ししました。
それを聞いた両親は「不思議な水」に頼ろうという考えはやめ…
定期的にレンドアへ依頼を出し、冒険者たちを呼び寄せてお嬢様の遊び相手になってもらうことに決めたのです。
今回のような勢いで運動をしていれば…きっと
いつかスリムで美しいお嬢様になる日が来るかもしれませんね。
「プクリポちゃんはお菓子がお好き♪」
~完~